【映画】『こはく』を観てきた。

話題の映画「こはく」を観てきました。

 

長崎出身の気鋭の若手映画監督・横尾初喜さんが新たに撮り下ろした半自伝的な作品です。

 

 


『こはく』予告編

 

幼いころに別れた父親を探す二人の兄弟を描く物語。

父親の会社を継ぎ自身も離婚経験を持つ弟を井浦新さん、

無職で少し虚言癖のある兄を大橋彰さん(アキラ100%)が

それぞれ演じていらっしゃいます。

 

僕がこの作品を知ったのは、

 

中学生時代からずっと大ファンである「車谷浩司」さんが、

 

音楽を担当しているからでした。

 

jukelog.com

 

車谷さんは、

 

その30年という長い音楽家生活の中で、

 

一度も映画音楽を担当なさったことはなく、

 

僕も初めてその報に触れたときは正直とても驚きました。

 

現在はLaika Came Backとして活動する彼の音楽が、

 

映画という空間の中でどのような響き方をするのか。

 

僕はその一点を確かめるべく

 

一度も入ったことのなかった横浜黄金町の

 

映画館「シネマ・ジャックアンドベティ」に足を踏み入れました。

jackandbetty.net

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映画『こはく』 メイキング〜全編〜

 

 

もうすでに長崎や東京など各地で公開が始まっており、

 

ご覧になった方のツイッターなどを拝見させていただく限り

 

どれも大絶賛でしたので、

 

作品自体に不安はなかったのですが、

 

実際に映画が始まり最初のシーンが流れたとき。

 

川べりの夕暮れを映す映像と、

 

車谷さん独特の幽玄なハミングが

 

とんでもないフィット感を醸し出していて

 

いきなり想像以上に感動してしまいました。

 

皆が褒めているとは言え、

 

やはりどこかで

 

「ホントに車谷さんの音楽を扱えるような映画なのか?」

 

という危惧があったのだと思います。

 

次第にストーリーが進み、

 

映画の世界観が徐々にあらわになっていく過程で、

 

局所局所で流れるあの声。あのギター。

 

台本もなくぶっつけ本番で撮影されたというラストシーンを見終わる頃には、

 

「この映画の音楽は車谷さん以外では考えられない。」

 

そう強く確信していました。

 

脚本だけでなく、

 

全体の色彩やカメラワークも

 

Laika Came Backの佇まいとぴったり合致していたように感じました。

 

(本当にサントラCDを出してほしいと切に願います。)

 

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この「こはく」という作品は、

 

観終わった後にウワーっと号泣するとか、

 

胸がキュンとなるとか、

 

そういう代物ではありません。

 

また、

 

あらすじだけ読むと

 

観る前から感動が織り込まれたような、

 

いかにもお涙頂戴的な作風なのかと

 

思われるかもしれませんが、

 

全くそんなことはありません。

 

むしろストーリーは終始淡々と進んでいきます。

 

別れや喧噪も淡々と日常として描かれていきます。

 

だからこそ、

 

よりリアルに役者さんたちの息遣いや、

 

視線にまでいつの間にか感情移入してしまうのです。

 

全国の映画館どこでも観れるという状況ではないようですが、

 

少し足をのばしてでも今観ておくべき作品なのではないかと思います。

 

(了)